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化粧品は光の魔術師
~光の反射をあやつり
究極の美肌をめざす~

2019.02.04
  • #光
  • #反射
  • #回折
  • #散乱

物体からの光の反射は,物体表面の形状や性質に依存しています.表面に凹凸があると光は回折現象の結果,拡散反射します.物質によっては,内部に入ったあと散乱されて表面から出てくる(内部反射)光も加わります.人の皮膚からの反射光は,表面反射光と内部反射光が混じり合っています.近年,この皮膚の複雑な反射光に関する研究が盛んに行われています.そのひとつとして,反射光の性質を制御し肌を美しく見せるファンデーションなどのメイクアップ化粧品の研究開発があります.
光が小さい粒子に当たると,乱反射して四方八方に散ります.これを光の散乱といいます.ファンデーションは,光を散乱する粉体微粒子などで構成されています.微粒子は,その大きさや形によって散乱の大きさや向き,光の波長依存性が変化します.したがって,理想の肌の反射光に近い反射をするようにファンデーションを設計することで,肌を美しく見せることができます.

写真1

一例として,微粒子直径によるシミの隠れ方の違いを計算機シミュレーションした結果を示します.粒径によってはシミが目立たなくなることがわかります.このように,反射や回折,散乱という光の物理を探求することで,新しい化粧品が開発されています.

写真2

(九州工業大学 岡本卓)

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