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カーナビは数学の達人
~GPSの原理~
カーナビや携帯電話のマップ表示など皆さんの身近に使われているGPSですが,どのようにして場所を測定しているのでしょうか?
地球の周りを回っているGPS衛星は自身の位置と時間を正確に計測するシステムを持っており,その情報を電波に乗せて地球に向かって発信しています. カーナビなどのGPS受信器は,この受け取った電波の情報からGPS衛星までの距離を計算し,以下のようなGPS衛星の場所を中心とし...
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電気抵抗で安全に
~電気抵抗を用いた変形測定~
重たいトラックが走ろうとも橋は頑丈でびくともしていません.これは本当でしょうか?
全く変形しない物質は実際にはありません.橋も変形しており,安全のために検査が欠かせません.
ただ,変形はとても小さいものです.正確な測定のためには敏感なセンサーが必要です.
実は,この測定には電気抵抗の変化が使われます.
図のように,力により電線が伸びたとします.電気抵抗は電線の長さに比例,断面積...
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金属のパイ生地?!
~加工による金属材料開発~
サクサクのパイ生地を使ったお菓子,おいしそうですね.パイ生地は小麦粉の生地とバターを重ねたシートに「伸ばしてたたむ」という手続きを何回も繰り返して作ります.
実は,同じような材料開発法があります.ステンレスは鉄にクロムやニッケルを溶かして作ります.ただ,溶かしただけでは混ざらない金属材料もあります.このような金属を「こねあげ」るのです.パイ生地と同じように2種類の金属の板を重ね合わせ,何...
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剛速球とドップラー効果
~スピードガンの原理~
プロ野球選手の剛速球,バックスクリーンにはすぐに球速が表示されます.どうやっているのでしょう?
ご存知のとおりスピードガンによる計測です.計器をボールに向けるだけで速度が測定できます.
実はここで「ドップラー効果」が使われています.救急車の音の高さの変化でおなじみの現象です.
スピードガンでは電磁波を照射します.照射した電磁波の周波数fと飛んでくるボールから反射した電磁波の周...
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スマートフォンは「下」を知っている
~加速度を測る微細チップ~
縦に長い画面のスマートフォン.本体を90度回転させると画面も「くるり」と回転.スマートフォンはどうやって重力を感じているのでしょうか?
実はスマートフォンの中にはバネとおもりが入っています.
バネにぶら下がった質量mのおもりは重力方向に力F=mgを発生し,バネは力に比例して伸びます(フックの法則).重力方向を知るためにこの伸びを検知しているのです.
下図は実際のスマートフ...
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食べ物の酸味から環境問題まで!
~「対数」で感じるpH計~
pHは、水溶液の酸性や塩基性の強弱の目安です。溶液の水素イオン濃度を[H+]としたとき、その常用対数をとると、−1から−14までの値になります。そこで、負の符号をつけて表します。
対数は、遠洋航海や天文学で必要な、桁外れに大きい数の掛け算や割り算を足し算と引き算に直して、簡単に計算するために発明されました。アボガドロ数(NA, 6.02×1023)が基準になる濃度や物質量も、対数で表すと...
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血糖値センサで疾病予防!
~ネイピア数と血糖値センサ~
健康状態のチェックにバイオセンサが活躍しています。例えば、血糖値センサは1 mLの数百分の1の試料だけで、数十秒後には結果がわかります。血糖値が高いといろいろな病気になりやすいのですが、病院に行かなくてもその場でチェックできるようになったので、患者の負担を軽くすることができました。ところで、重さや体積は試料全体を測りますが、血糖値センサはそうではありません。どのようにして調べているのでしょうか?
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磁気ナイフで医療診断
~MRIによる人体断層撮影~
MRI(磁気共鳴画像)装置を利用すると人体の高画質な断面画像がたくさん得られ、病気の有無が容易に診断できます。国内外の多くの病院に導入されて、高度医療の現場で活躍しています。装置の内部には幾つかの円形コイルが格納されており、一様な磁場中に撮像部位が置かれます。
人体の約7割は水(H2O)でできています。また、生体組織を構成する有機化合物も水素原子Hを含みます。磁場の大きさで決まる特定の周...
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体重計は知っている
~体脂肪率の算定~
家庭にある体重計は、身長・年齢・性別を登録しておくと、体重とともに体脂肪率も表示されます。表面に配置された2つの電極に両足が触れると微弱な電流が流れ、電気抵抗(インピーダンス)から筋肉量を算出できます。
体内にある脂肪は電気をほとんど通さず、筋肉は電気を通しやすい性質があります。つまり、肥満な人は電気抵抗が大きく、逆に筋肉質な人は電気抵抗が小さくなります。
生体組織を構成する体...