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金属のパイ生地?!
~加工による金属材料開発~

2018.04.09
  • #対数
  • #指数
  • #金属原子

サクサクのパイ生地を使ったお菓子,おいしそうですね.パイ生地は小麦粉の生地とバターを重ねたシートに「伸ばしてたたむ」という手続きを何回も繰り返して作ります.

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実は,同じような材料開発法があります.ステンレスは鉄にクロムやニッケルを溶かして作ります.ただ,溶かしただけでは混ざらない金属材料もあります.このような金属を「こねあげ」るのです.パイ生地と同じように2種類の金属の板を重ね合わせ,何度もローラーで押しつぶします.


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層の枚数は倍々に増えるのであっという間に大きな数になります.2 mmほどの金属板ならば,原子層は1000万層程度です.
ここまでに何回ローラーにかければよいでしょうか?


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つまり,23~24回ローラーにかけるだけで1層の厚さが原子間距離程度となり,十分に2種類の金属が混ざったといえます.


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このような方法が,タービン部品や化学プラント用の配管部品,電池の素材など,高性能素材開発に用いられています.

(九州大学 津守不二夫)

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